墜落日記 - 2007年10月21日の墜落
マスコミが映すのは映したい物だけ
久々の長文。
そうホットな話題でもないが、この手の話題にホットも何もないだろうと言うことで、ちょっと気になったので書いてみる。
(それでも先週の話だけどね、いや展開速い速い)
なんか最近TBS界隈がよく騒いでいる。
もともと焦臭さはピカイチのTBSだが(あと朝日新聞もな)、また立て続けに起こったもんである。
ま~世間一般で有名なのは亀田大毅の反則行為と、それにもかかわらずの亀田寄り実況問題だろうか?
自分、申し訳ないが亀田大毅に別に興味はない。
あのパフォーマンスはスポーツマンとして問題があると思っていたし、ハッキリ言うと反感と言っていいほど好ましく思っていなかった。
だから試合は見ずに単純に「負けた」という事実のみを知った時は、「一度負ければ彼の真価が分かるし、それをバネに強くなることも出来る」と単純に思っただけだった………が、よくよく色々と出ている情報を見てみると、そんな悠長な問題ではなかった。
逆に彼に対して直感的に反感を持っていた自分の感じ方の方が、結果的には妥当だったのではないかと思う。
しかし、今日の本題は亀田大毅ではない。
亀田大毅は前座で、真打は『初音ミク』、である。
『初音ミク』というのは最近発売された音声合成アプリケーションで、譜面と歌詞を入力することで自動的に歌声を生成する。
昔にホリプロが巨費を投じて作ったけど結局ウケなかったバーチャルアイドル『伊達杏子 DK-96』では見た目だけに留まっていて歌声は人間の吹き替えに頼らざるを得なかったわけだが、このバーチャルアイドルの実現を阻む牙城の一角である歌声を作り出す技術である。
(ちなみに自分は『伊達杏子 DK-96』に関しては当時流行っていたアイドルの属性を摘み食いしたような設定が嫌だった)
しかもこれがビジネス向けの数百万するアプリケーションではなく、\15,000- 前後の、技術からすれば恐ろしい低価格で売りに出されて、ネット上ではかなりの騒ぎになっている。
もっとも、パッケージに描かれた所謂萌え系の『初音ミク』のイメージ (DTM MAGAZINE 2007 年 11 月号では表紙も飾った) も一助になってはいたのだろうが。
自分は『初音ミク』の存在は知らなくて古巣のオフ会で初めて知ったのだが、なかなかの技術である。
しかも所謂萌え系のパッケージと関係なく、真っ当に DTM (DeskTop Music) だし、これはこのまま進化すれば DTM の広がりの一翼を担う技術に発展すると思われた。
『初音ミク』の威力は YouTube でも検索すると堪能できるが、取り敢えず『初音ミク』の公式ページでデモソングを聴いてみることをオススメする。
………しかし自分に DTM の趣味と能力があったら間違いなく買っているな、コレ………(汗々)
と言うわけでなかなかに興味深い『初音ミク』だが、ここにまたTBSの影が落ちた。
TBS系『アッコにおまかせ』で『初音ミク』が取り上げられてしまったのである。
で、肝心の内容は『初音ミク』の技術的優位性や可能性には些かも触れず、それを操る側のステレオタイプなオタク像を面白可笑しく揶揄する内容。
結局、出てきたゲストには最近流行の「俺の嫁」とか言わせて、最後は職業を聞き「コンビニでアルバイトを」と答えると「ふ~ん、ご立派ですね~」で締めくくられる。
本題であるはずの『初音ミク』の歌声は数秒しかない。
これでは何を特集したかったのか分からない。
要は最初から、秋葉原+萌え+アイドル+オタクでキモオタに落ち着けたかっただけの構成なのである。
これにネットは速攻のカウンターパンチで大騒ぎ。
事前の台本の内容とは違う誘導されたセリフをつなぎ合わせた物であることも取材陣が置いていった台本が世に出てしまうことで発覚した。
この余りにも明快で分かりやすすぎる―――稚拙と言ってもいい―――印象操作にホリプロの陰謀説まで飛び出している。
前述の通りホリプロは巨費を投じた『伊達杏子 DK-96』に見向きもされなかった苦い過去があるが、『初音ミク』は発売から半年経たずに大騒ぎであるから面白いわけがない、しかも和田アキ子はホリプロ所属………という論法である。
さらに『伊達杏子』を復活させようとした矢先の『初音ミク』フィーバーだからホリプロとしては潰す価値があるわけで、陰謀説に妙な説得力を与えている。
ま~これは極端な例にしても―――ただし肯定材料も否定材料もない―――騒ぎっぷりはなかなか壮絶で、『初音ミク』の開発元であるクリプトン・フューチャー・メディア社の伊藤博之代表取締役が『初音ミク』のユーザに不快な思いをさせたことに関して謝罪するという異例の事態に発展した―――しかもテレビ放映の翌日という早さで。
取材した方ではなく取材された方が謝罪するという異常事態である。
マスコミにとってこれを異常事態と言わずして何を異常事態と呼ぶのか?
ちなみに以下は参考。
さて、でも実は自分、もうちょっと冷めた見方をしている。
『初音ミク』に直接関わっていないから冷めて見られるのかも知れないが、そもそもマスコミに客観性を求めること自体が間違いなのである。
マスコミという民間企業は視聴率という収入源で生きている。
視聴率が稼げなければスポンサは付かないしプロデューサは首切られるわけである。
で、もっとも簡単な視聴率稼ぎはお茶の間の皆様が満足する内容を放送することであり、お茶の間の皆様が喜ぶのは自分に直接関係ない第三者を下世話に扱き下ろすネタである。
そう言う意味で、オタクほどマイノリティで叩きやすい相手はいないわけである。
そう考えると、視聴率稼ぎのためのあの特集は実に理に叶っている。
あれだけ分かりやすいステレオタイプなキモオタを演出し、あとは和田アキ子が痛快に扱き下ろすのに任せるのである。
実に良くできた構成だ。
そう、つまりマスコミが映すのは映したい物だけなのである。
世界の惨劇も、街角の喧嘩も、結局はマスコミが映したいと思うから映すのであって、そこに報道の正義や客観性を望むのはお門違いなのである。
しかも相手は視聴率のためなら弁護士をも殺すTBSである。
だから、オタク―――もちろん俺もだ―――はマスコミに対して自衛しないといけない。
マスコミが常に敵だとは言わないが、マイノリティに対して大衆はほとんどの場合において敵だし、大衆に迎合することで視聴率を稼いでいるマスコミも同様にほとんどの場合において敵に回ることを理解しないといけない。
また、今回の騒ぎは確かに一見するとネットを介した一大的な問題提起に見えるが、そのほとんどが匿名、名無しの発言であり、世間一般では責任が伴わない匿名の発言など基本的に相手にされないことも理解した方がいい。
それこそ MiAU の様な圧力団体が必要になってくる。
マスコミに本当に抗したいのなら、2ch とかで騒いでいても決定打にはなりえないよ?
更に言うと、マスコミもそろそろ理解した方がいい。
ネットの発達で個人が情報発信をする手段が飛躍的に進歩したおかげで、マスコミだけが情報の発信源だった時代は終焉を迎えつつある。
これは地上波を独占的に押さえているキー局の神通力が通じなくなる時代が訪れつつある、ということだ。
その様な状況の中で自分達がどのように立場を確立し続けるのか?
今までの感覚や常識のままでいると見向きもされなくなってしまう時代が遠からずやってくるよ?
最後に、今回は不幸な結果を招いてしまったが、『初音ミク』の技術自体は現在どこに出しても恥ずかしくない物であることは、今更言うまでもない。
クリプトン・フューチャー・メディア社には今回の件で萎縮することなく、ドンドン良い技術を送り出してくれることを切に願うばかりである。
『初音ミク』のその先に『時祭イヴ』が居るのかもしれないのだから。
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