墜落日記 - 2008年4月7日の墜落
悪の帝国再び、OOXML への疑惑
Microsoft の Office 2007 で採用された XML っぽい文書フォーマット、Office Open XML 通称 OOXML が ISO 標準の承認プロセスを通過したことは4月2日の墜落でもお伝えしたとおりだが。
やはりと言うか、この会社にとってはむしろ当然というか、多くの疑惑が取りざたされている様だ。
久しぶりに悪の帝国―――いや、時流に乗れば悪の枢軸と言うべきか―――の異名が急浮上したようだ。
そもそも Microsoft の OOXML が ISO 標準の承認プロセスを通過した旨の伝えられ方がおかしい。
一部のメーリングリストにリークされた情報を除けば、ISO の公式発表よりも Microsoft のプレスリリースの方が早い。
しかし4月2日に ISO から発表された公式情報と明らかに食い違う部分がある。
ISO から発表された公式情報では、承認されるのは「今後二ヶ月以内に 加盟国から正式な異議が提出」されない場合であって、実は未だ承認されていないのだ。
つまり Microsoft の発表が ISO に先んじたのは、公式な発表よりも先に既成事実を作ってしまって後のプロセスを自分達の都合の良い方に進めてしまおうという、そのまま詐欺師の理論から来ているに過ぎない。
そしてこの行為は、むしろ Microsoft が「今後二ヶ月以内に 加盟国から正式な異議が提出」される可能性があることを自覚していることの裏返しであると取ることも出来る。
その自覚の根拠とはなにか? むちろんご多分の予想に違わず、悪の帝国の面目躍如たる不正行為である。
現に ISO ノルウェー支部の責任者である Steve Pepper 氏が ISO 本部に、「深刻な不正行為が行われた」としてノルウェーの票を集計から除外するように勧告する書簡を送っているとのことだ。
また反トラスト法などで Microsoft に厳しい欧州委員会は ISO の支部に要望書を送付し、OOXML の承認プロセスに関する情報提供を求めているとの情報もある。
そもそも2007年9月の時も、ギリギリになっていくつもの国が P メンバーに加わったり、金銭的な報酬が委員に約束されていた事実が発覚したスウェーデンの例や、そもそも委員会自体をYESマンで構成したというハンガリーの例など枚挙に暇がない。
だが、OOXML が真に技術的に優れているのなら、何もこんな政治的な裏工作を大規模にやる必要はない。
政治的な裏工作を必要としているということは、とりもなおさず Microsoft が OOXML が ISO 標準として相応しくないと自覚しているからに他ならない。
何度も言うが、OOXML が技術的に優れていて、真に標準として実現可能性が高いのであれば、こんな問題は起こらない。
しかし現実として OOXML には、Windows というプラットフォームに依存した設計の問題、過去の Office と互換性を得るが為の特殊仕様の問題、グレーのままの知的財産権の問題(技術的には実現可能だとしても法的には実現不可能となる可能性があるということだ)など山積している。
そもそも今回 ISO 標準に提出された OOXML の修正仕様は Office 2007 ですら実装できていない筈だ。
ISO 標準は決して一企業に利する物であってはならない。
もしこのまま Microsoft の不正行為が正されないまま OOXML が ISO 標準として承認されたとなれば、4月2日の墜落でも述べたように ISO の歴史において最も大きい汚点となるであろうし、ISO の承認プロセスに重大な不備があると世界が認識すれば ISO の存在意義も失墜するだろう。
もちろん ECMA も同罪だ。
ISO には是非とも最大限の自浄能力を発揮して、本来あるべき正しい結論を導いてほしい。
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